認知症疾患医療センター 


概要

認知症の早期診断および早期治療について
本邦において令和元年度には実に約600万人の方が認知症を発症しており、高齢者の7人に1人が認知症となっています。将来さらに認知症患者数が約800万人に増加すると推計されております。2014年に発表された認知症患者と家族の会のアンケート調査では、初期症状から確定診断まで平均15か月の期間を要しており、その理由として病院に行きたがらない、年齢の影響であると認識されていたことなどが挙げられていました。また、最初に受診してから確定診断までに約6か月の期間がかかっています。これらのことからより早く適切な治療が始めるための早期診断が望まれているという現状があります。認知症において脳神経内科の最も得意とする分野は初期診断および初期治療です。我々はこれらの強みを生かし地域の認知症患者さんに貢献できるようにしていきたいと考えております。

認知症とは?
認知症とは本来、これまでの人生において得られた認知能力が低下し、日常生活や社会生活に支障を来すようになった慢性的な状態を指します。認知症の症状は2つに大別されます。1つは中核症状と呼ばれる症状で、物忘れに代表される記憶障害や場所・日時がわからなくなる見当識障害などがあります。もう1つは周辺症状と呼ばれる症状で、認知症に伴う精神症状や行動異常で、幻覚、妄想、興奮、不眠、徘徊などがあります。この周辺症状は患者さんのプライドが傷ついたりしために引き起こされることが見受けられる一方で、ご本人としては自覚がないことが特徴です。このことから周囲の助言を受け入れにくく、ご家族の認知症介護のストレスの大きな要因の1つにもなっています。

認知症の原因は?
アルツハイマー型認知症は、認知症の約7割を占めています。脳が萎縮する病気で、もの忘れが主症状です。アルツハイマー型認知症のほかに、もの忘れに幻視やパーキンソン症状を伴うレビー小体型認知症、人格変化や反社会的行為で始まる前頭側頭型認知症、脳卒中など血管障害の後にもの忘れがひどくなる脳血管性認知症があります。その他、内科の病気にて引き起こされる認知症、脳神経外科にて治療可能な正常圧水頭症など様々な病気があります。

認知症の検査は?
認知症の診断は以下のように行います。最初に日常生活や社会生活状況の把握をするために病歴を聴取します。次にもの忘れの状態を調べるために神経心理検査、脳萎縮の程度を調べるために頭部MRI検査を行います。頭部MRI検査は磁場を使用する検査なので、ペースメーカーなどの金属が体の内部にある場合はできないためその際は頭部CT検査を行います。さらに脳の活動状態を把握する脳血流検査も行います。必要に応じてレビー小体型認知症に有用なダットスキャン検査なども検討されます。認知症の方は、病識がないため認知症のための検査とお話しすると拒否されるケースもあり、ご家族からは健康診断と伝えるのも良い方法かもしれません。

認知症疾患医療センターについて
国立病院機構仙台西多賀病院は、2015年9月1日に仙台市の指定を受けて、認知症疾患医療センター(地域型)を開設致しました。認知症疾患医療センターは、地域における認知症疾患の保険医療水準の向上を図ることを目的としており、認知症の早期診断、早期治療、地域連携の推進、人材育成や情報発信を行っております。当院で行っている市民公開講座では毎年数百名と非常に多くの方々にご来場いただいております。開設時の2015年9月1日から2020年3月31日まで合計約1300人の新規受診患者さんに対して、初期診断および治療方針を決定し、患者さんやご家族の方へ医療支援や生活支援を行ってまいりました。これからも多くの患者さんに役立てるよう努めていきたいと考えております。
ご本人やご家族の方がご相談を希望される際には相談窓口へご相談ください。
皆様のご理解とご協力の程、宜しくお願い申し上げます。



国立病院機構仙台西多賀病院仙台市認知症疾患医療センター

■もの忘れ外来予約
TEL:022-245-1810

■認知症に関する相談
TEL:022-245-2122

■受付時間
9:00~16:30 月~金曜日(祝祭日除く)
*診療は診療情報提供書が必須完全予約制になります。
受診の際には必ず事前に電話で申し込みをしてください。

「もの忘れ外来の受診の流れ」はこちら(動画)


診療情報提供書ダウンロード(PDF)(エクセル形式はこちら) 
パンフレットダウンロード(PDF)


医療機関の皆さまへ

下記のような「診療情報提供料への加算・療養指導料」が算定可能となっております。どうぞご活用ください。

【認知症専門医紹介加算】  100点
*専門医療機関に紹介した際に診療情報提供書250点に加算されます。
「認知症の疑いがある患者」について、専門医療機関(認知症医療センターなど)での診断等の必要を認め、専門医療機関へ紹介を行った場合は、診療情報提供料に加算算定することができます。

【認知症療養指導料】 350点(6月に限り月1回)
*専門医療機関で確定診断のあった方の診療を行う場合に月1回、 6ケ月算定可能です。
「専門医療機関において認知症と診断された患者」について、かかりつけ医が専門医療機関からの診療情報に基づく診療を行う場合に、月1回、6月まで算定できます。なお、算定については専門医療機関への診療情報提供が必要となります。

【認知症専門医療機関連携加算】 50点
*専門医療機関で確定診断のあった方を症状増悪等により再度専門医療機関に紹介した際に診療情報提供書250点に加算されます。
「外来で管理している認知症患者(専門医療機関において既に認知症と診断された患者)」について、症状が増悪した場合や定期的な評価が必要な場合に、専門医療機関に紹介を行った際は、診療情報提供料に加算算定することができます。


センター長 紹介

認知症疾患医療センター長
(脳神経内科医長)
大泉 英樹

■略歴

平成10年順天堂大学医学部附属順天堂医院神経内科入局。水野美邦教授に師事し、パーキンソン病などの臨床経験を積む。
平成18年に同大学にて望月秀樹先生に師事し、神経再生学をテーマに医学博士取得。
平成23年まで救急病院である順天堂大学附属浦安病院・越谷市立病院にて脳卒中・急性脳炎などの神経救急疾患を含む幅広い臨床経験を積む。
平成23年に東京都認知症センターである順天堂大学附属東京江東高齢者医療センターに就任。認知症の早期発見・早期治療を中心に認知症の専門的診療に携わる。高齢者医療を重点的に行い、地域医療に貢献。
平成26年に国立病院機構仙台西多賀病院に就任。武田篤院長に師事し、パーキンソン病、認知症、筋ジストロフィーの診療・臨床研究を中心に専門的診療に携わる。
平成27年9月より当院認知症疾患医療センター長就任。

リンク

公益社団法人 認知症の人と家族の会宮城県支部
仙台市ホームページ 認知症高齢者を介護する家族交流会

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